折立→室堂 3DAYS HIKE 7/20-22

posted in: 北アルプス | 0

去年同時期に歩いた折立〜室堂間を再び歩いてきた。妻が小屋泊で1日先行して出発し、2日目に五色ヶ原で追いつくという初めての試みだ。

DAY1 折立→薬師峠 7/20

いつものように富山地鉄ホテルに前泊、翌日始発の折立行きのバスの乗る。平日なので空いていた。

7時半、暑さとの戦いになる予感とともにハイクスタート。

樹林帯は涼しく、快調に歩いて30分でアラレちゃん着。

眺望が開けると剱岳が見えた。大気の霞み具合がいかにも暑そうだ。

樹林帯を抜けると灼熱が全身に容赦無く照りつける。

ここから先は全く日陰がない。

体力の消耗を少しでも和らげるために日傘を差す。これが思った以上に涼しく、太郎までほぼ差しっぱなしに。他の人も暑さに参っているみたいで、日傘いいですね〜、と何度も声をかけられた。下りてくる人が、昨日もその傘差してる人見かけたよ、と言ってたけどおそらく先行している妻だろう。

チングルマは早くも綿毛に。

薬師岳が彼方に見える。

途中でネパール人職人がトレイルの整備をしていた。

折立街道らしさ満載の風景。水を定期的に飲み、塩分を摂り、日焼け止めを塗り直し、暑さからの体力消耗を出来るだけ減らすように努めながら登る。

ハクサンイチゲ。

ニッコウキスゲ。

10時半、太郎小屋着。お昼のカレーをいただく。

雲ノ平方面にはニッコウキスゲの群落。

そしてコバイケイソウ。

薬師峠に向かう。テントはまだ数張りだ。去年はテント場の半分が雪に埋まっていた。

好きな所に張り放題だった。ちょっと高台のフラットな所にクロスオーバードームを張った。

少し昼寝して稜線まで上がるつもりだったが暑すぎて眠れない。何度か水場に行って水浴びをして火照った体を冷やす。

13時、上まで行けば涼しいかなあと、昼寝を諦めて稜線を目指す。

アタックザックは『PEAKS 8月号』付録のタイベックザック。スタッフサックとアタックザックの両用が出来るのでなかなか良い。

去年は雪に埋もれていた所なのだが、今年はすっかり溶けている。

先に進むと少し残っていた。

コバイケイソウの群落、こんなに咲いているのは初めて見る。

薬師平のお花畑は満開。

珍しく頭痛が全くなくて呼吸も乱れず、調子よく登っていく。

シナノキンバイ。

14時、稜線に着いた。ガスが上がってきて陽が遮られると風が心地よい。山は稜線に出ると雰囲気が一変する。風のせいか、視界が開けるためか、緊張感が増すとともに充実感も増す。

薬師峠に戻る途中、雪解け水で火照った体を冷やす。

テントに戻ってからも日差しが出たままで暑く、昼寝もままならかった。30分ぐらいは眠れたかもしれない。

夕食はいつものメニュー。

19時、夕焼けを見るために太郎平に上がる。

ピークを逃してしまったのかいまいちな夕焼けだった。

とにかく暑かった。北アルプスでこんなに暑い思いをしたのは初めてだったので、果たして明日は五色ヶ原まで歩けるのだろうか?と不安になりながら就寝。

DAY2 薬師峠→五色ヶ原 7/21

2時半起床、よく眠れて体調もいい。4時出発。シングルウォールのクロスオーバードームは結露が凄かった。ある程度拭いてから畳んだ方が良いのだけど、そのままザックのフロントメッシュにざっくり入れる。

ヘッドランプを灯して薬師岳を目指す。

薬師平に出て振り返れば黒部五郎岳。

まだ薄暗い中、コバイケイソウが白く輝く。

木道の先には槍ヶ岳。ザックはraywayをベースに自分仕様にカスタマイズした新作。

お花畑の彼方の空が朱に染まってきた。

薬師平を抜けて少し登ると雲海が見えた。

北ノ俣岳に陽が当たり始めた。

黒部五郎岳にも、陽が真横から差し込んでいる。

5時、稜線に出る。

薬師岳山荘でトイレ休憩。陽はまだ当たっていないので、ここまで快適に登ってこられた。

暑そうな陽がだんだん迫ってくる。

薬師岳手前の祠に向かって高度を上げる。

祠に着くと待っていたとばかりに陽が当たる。一気に体の表面が暑くなる。水は2.5リットル担いでいて、途中で補給もできるのでどんどん飲む。

慰霊碑に手を合わせてから先に進む。

振り返ると槍穂の稜線がくっきり見えた。こんなに綺麗に見えるのは初めてだ。

6時、薬師岳ピーク着。

どこから来たのかトレランスタイルの人がいた。このコースは来月開催のTJARのコースの一部だからなのか、今回はトレランの人が多かった。

思った以上に体調がいいので先に進む。

北薬師への稜線は切り立っていて歩きごたえがある。

前方に立山と剱岳が見えてきた。

北薬師から薬師岳を振り返る。

東側を見下ろすと昨日歩いた折立街道と有峰湖。クリアに見えて凄い高度感があった。

休憩していると鳴き声が聞こえてふと横を見ると、雷鳥親子がすぐ側にいた。

前方にP2832、去年はこの辺りから天気が荒れだしたのだった。

ハクサンシャクナゲ。

前方に剱岳を常に捉えながら進む極上のトレイルが続く。

振り返ると槍ヶ岳。

前方には剱岳、北薬師からここまでは最高のセクションだった。

去年は完全に雪で埋まっていたルートも今年は難なく歩けるので、五色まで割と早く着ける予感がしていた。

スゴ乗越への下りが始まった。この辺りでスゴ乗越から上がってきた人と何人かすれ違った。昨夜小屋に同宿した妻が自作ザックを背負っている人がいたら夫です、と話していたみたいで声を掛けられたり。

相変わらず暑いが、広々としたところで気持ちよく歩く。

下るにつれて前方の越中沢岳が壁のように見えてきた。この暑さの中、あれを越えなければ先に進めない、今回の核心部だ。

9時半、スゴ乗越小屋着。着いてみれば去年より時間的なアドバンテージはあまりなく、少し焦る。下りに入ってから小屋までが長く、樹林帯に入ってから暑さと湿度が増して体力をだいぶ使ってしまっていた。

カレーは10時からでまだ準備できていないとのことだった。昼食を行動食で済ませてすぐに先に進むか迷ったけど、体が火照っていて疲れを感じたので大休止にすることにした。涼しい小屋のフロントで待たせてもらう。

10時丁度にカレーが出来上がった。中の食堂でどうぞと言ってくれたので、涼しい小屋でいただいた。

とてもアットホームで静かな小屋でお気に入りの場所になっている。後で妻に聞いた話では、他の宿泊者との交流もあり、ここで過ごした一晩はとても特別な体験になったみたいだ。

小屋から越中沢岳を眺める。この暑さの中、妻は無事に越えただろうか。

10時半、出発。少しガスがかかってきた。太陽が少しでも隠れるだけで、体感温度が劇的に変わり、体のパフォーマンスも上がる。

これはラッキーとばかりに先に進むが、越中沢岳の手前のスゴノ頭への登りがきつくて一気にペースダウン。薬師岳山荘でトイレに行って以来尿意を感じていないので、水をとにかく飲んで塩分も補給する。しばらくガスったり、晴れたりの繰り返しが続いた。バテて行動不能になるのが恐かったので、無理をせず、疲れたら座り込んで時間を決めて休んだ。

11時半、スゴノ頭。

一旦下って越中沢岳に取り付く。ガスが濃くなってきた。

誰もいない中、黙々と歩く。

声がして、誰かきたのかなと後ろを振り返って前方にも目を凝らすが誰もいない。ふとトレイル脇を見下ろすと雷鳥親子だった。しばらく並走してトレイルを歩く。

12時50分、越中沢岳着。とにかくほっとした。後は緩やかな稜線のピークを3つ程越えれば五色ヶ原だ。

越中沢岳ピークで休んでいるとさっきの雷鳥親子が追いついてきた。

去年は暴風雨になって体を斜めにしながら駆け抜けた稜線、今日はのんびりとゆっくり歩く。

陽が陰って風が吹くと涼しい。ガスが出ていてラッキーだと思ったのは初めてだ。

途中一旦樹林帯まで下りて再び登り返す。

歩いてきた道を振り返る。越中沢岳を越えてから2人パーティーとすれ違って以来誰とも会っていない。ひとりでもくもくと歩く。こういう瞬間は最高の贅沢だと思う。

15時、五色ヶ原山荘を目視。流石に脚に疲れが出ていた。水は薬師峠で入れた2.5リットルは飲み干していて、スゴ乗越で補給した1リットルもほとんど残っていなかった。

小屋に着いたらまずコーラが飲みたいなあ、と思って木道を歩いていると妻がそのコーラを持って迎えに出て来てくれていた。

テントを立てる気力が残っていなくて去年同様小屋にチェックイン。夕食をいただき、その後は小屋の周りを散策して穏やかな時間を過ごす。

陽光にきらめくチングルマ。

テント場もチェックしに行く。

宿泊客はそれほど多くなく、静かな中、夕焼けを眺める。

DAY3 五色ヶ原→室堂 7/22

昨夜は布団に入った瞬間深い眠りに落ちた。今日も快晴。

針ノ木方面。

5時50分出発。

コバイケイソウの群落、今年は当たり年みたいだ。

しばらく足を止めて見とれる。

ザラ峠へ向かって高度を下げる。

前方に獅子岳。

これだけ晴れているザラ峠は初めてだ。

獅子岳より日本海。

五色ヶ原を振り返る。遥か彼方、昨日歩いた薬師岳からの稜線も綺麗に見える。

去年苦労した雪渓エリア、今年は流石に大丈夫そうだ。

鬼岳の長めの雪渓はアイゼンをつけた。

雪渓を越えると再びコバイケイソウの群落。

9時42分、浄土山着。最後に歩いてきた道を振り返る。よく歩いた。もうこのルートはもう充分だとその時は思っていたけど、また歩きたくなっているから不思議だ。

濡れっぱなしだったクロスオーバードームを乾かす。

薬師岳を越えてからずっと前方に見えていた立山、剱岳が間近に見える。

ミクリガ池温泉を目指してひたすら歩く。

温泉後のシメはサーモン丼。

妻はこのルートを10年以上前にチャレンジして敗退していたので念願の踏破になった。僕は去年と同じルートということでそれ程期待はしていなかったのだが、やはりどこを何度歩いても山は、北アルプスはいい。

MYOG(Make Youre Own Gear)ザックもショルダーの素材、パターンを体に合わせたので、いつものように後半に肩が痛くなって内出血の跡が出るようなことはなかった。