双六ベース、鷲羽岳、水晶岳 3DAYS 8/12-14

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お盆休みに双六をベースに鷲羽岳と水晶岳に登ってきた。

さわやか信州号が満席だったので名古屋からの夜行バスを利用した。仕事終わりに新幹線で名古屋まで行って、名古屋から上高地行きの夜行バスに乗って新穂高で途中下車した。夜行バスで眠れるか毎度のことながら不安だったが座席が広めで4〜5時間は眠れた。

DAY1 8月12日 新穂高→双六テント場

バスの運行が順調だったみたいで4時前に新穂高に着いた。ロープウェイ駅から下ったところのビジターセンターで登山届けを出して準備を整える。真っ暗な中をヘッドランプを灯して登って行く人がすでにたくさんいる。

4時半、ハイクスタート。ヘッドランプがいらないぐらい明るい。妻のバックパックはMYOGのYAMABU R1プロトタイプだ。

このルートは下ったことは何度かあるが登るのは初めてだ。いつも下りながらここの登りはしんどいだろうなと思っていた。しばらく舗装された道を歩く。

5時、すっかり明るくなって稜線に日が差しているのが見える。ここはまだ日が当たらず、涼しくて汗もかかない。

わさび平まで平坦な道でゆるゆると歩く。

6時、わさび平着。トイレに小休憩。

わさび平から少し歩くと小池新道入口。ここから本格的に登山が始まる。

小池新道に入ってすぐに日が当たって今までの涼しさは嘘のように汗が吹き出る。1時間ほど登って広い沢で休憩、汗で濡れたシャツが乾くと白いシミが浮きまくった。

想像以上の暑さで、周りで登っている人も辛そうだった。樹林帯で風がなく、蒸しっとした暑さがある。

無我夢中で登ってきて、ふと振り返れば結構高度を上げていたのがわかった。

ずっと鬱蒼としていて抜け感のないトレイルが続く。意識して水と塩分をとる。

9時半、鏡平着。今までにここを2回通過したことがあるが、晴れている時に来るのは初めてだ。正面に槍ヶ岳が見える。

ジャンダルムから奥穂高岳、北穂高岳、大キレット、南岳、大喰岳、槍ヶ岳と以前歩いた稜線が丸見えだ。こんなに間近にはっきりと見るのは初めてで、あんなところをよく歩いたなあと感慨深かった。

鏡平から1時間登って笠ヶ岳への分岐点、弓折乗越に出ると完全に樹林帯を抜けて、灼熱の太陽が照りつける。

振り返れば鏡平山荘とその彼方には槍穂の山並みが見えて、何度も振り返る。

とめどなく汗が流れて体力を消耗していくのを感じる。

11時40分、ようやく彼方に鷲羽岳と水晶岳を垣間見るところまで来た。

双六岳も近づいてきた。

12時、ようやく双六小屋が見えた。この頃からすごい眠気と頭痛に襲われる。疲れと高度障害が出ているみたいだ。

爽快な稜線歩きとはいかずに、ぼんやりと歩いてきた気がする。

それでも時折思い出したように槍ヶ岳に視線を送る。穂先は雲に包まれているが明らかに普通じゃない稜線の北鎌尾根が見える。

小屋が見えてからが長かった。

13時、双六小屋着。朦朧としつつテントを張る。

テント場はすでにかなり混んでいて双六池のほとりに場所を確保。

双六岳を登っておきたかったが頭痛と吐き気がひどかったので諦めて小屋の陰で休む。コーラを飲んで30分ほど休んでいると不思議なことに頭痛も吐き気もおさまった。

16時、いつものメニューで夕食。食べている間にも続々とテント泊の人が到着してテント場は超過密状態になった。

DAY2 8月13日 双六テント場→鷲羽岳→水晶岳→黒部源流→双六テント場

3時起床、夜中はシュラフが不要なほど暖かった。夏の北アルプスでこんなことは初めてだ。4時出発の予定がトイレの列が30分ほどかかってしまい4時45分、出発。

ちょうど日が出てヘッドランプはいらない。

少し登ると槍穂に日が差しているのが見えた。

三俣山荘まで巻道を行く。

手前に鷲羽岳、その先に水晶岳が見える。往復で10時間ぐらいの予定だ。

朝日に輝く巻道を快適に進む。

日差しが強くなってきた。今日も暑い。

右手には槍の穂先が見える。

前方には鷲羽岳と水晶岳。

昨日とは打って変わって体調も良く、ジャンダルムから穂高、槍までの稜線を眺めながら最高の気分で歩く。

三俣山荘が近づいてきた。

この辺りはいつも雨の中を歩いていたのでテント場が意外と広かったことを知る。

7時、三俣山荘着。小休憩して水の補給をする。

三俣山荘を出ると目の前に鷲羽岳がそびえている。

槍の穂先から北鎌尾根の圧巻の稜線と手前には赤茶けた硫黄尾根が見える。

鷲羽岳への登り、息切れもなくいいペースで登っていく。

ピーク直下、岩稜帯になってきた。

槍穂の方ばかりに気を取られていたが反対側には薬師岳が見えた。この角度から見るのは初めてだ。

ピーク直下から見る鷲羽池と槍ヶ岳。

8時半、鷲羽岳ピーク着。前方には水晶岳。時間的にぎりぎりだがこのコンディションで行かない手はないと迷わず先に進む。

少し進んで鷲羽岳を振り返る。歩いて来たトレイルが綺麗に見える。この辺りまで来るとどこを見ても絶景になる。

右手奥に水晶小屋があってそこから稜線を進むと水晶岳ピークだ。

10時、水晶小屋着。こじんまりとした小屋だ。Tシャツを買いたかったのだが売り切れていた。給水制限をしていたので天水を500ml購入。昼食にする。

小屋から裏銀座縦走路を見る。いつか通しで歩いてみたい。

小屋からピーク直下までは緩やな稜線が続く。

ピーク直下から岩稜帯になっていてハシゴもある。地面の砂がキラキラしていたのでこれが水晶岳と呼ばれる所以なのだろうか?以前、雲の平から雨の中一瞬だけ見えた時は黒々としていた。遠目には黒く見えるので黒岳とも呼ばれている。

11時、水晶岳ピーク着。狭いピークは結構混んでいた。

双六まで帰るのに5時間ほどかかるので先を急ぐ。帰りの鷲羽岳は巻く。

12時、ワリモ北分岐から岩苔乗越へ下る。

数年前に雲の平から新穂高に抜ける時に歩いた道だ。あの時は膝を痛めていてストックに頼りながら雨の中を必死で歩いたのだった。バックパックをデポして鷲羽岳を目指す人がほとんどの中、僕は登るどころではなく三俣山荘の診療所を目指していた。

今回最高のコンディションで歩けて感慨深い瞬間だった。

膝が痛いながらもトレイル脇の花々が美しかったのを覚えていて、今回も期待していたが沢沿いのためまだまだ花が残っていた。

水量豊富でさすがに少し涼しくなってほっとした。黒部源流まで下って行く。

13時、黒部源流着。以前は碑があったのだがなくなっていた。沢の水で体を冷やす。

三俣山荘までの登り返しがそれほど急登でもないのだが暑さのために辛かった。

三俣山荘の展望食堂でケーキとラーメンを食べて休憩し、双六への巻道へ進んだ。疲れていて写真をあまり撮っていなかった。すでに8時間あまり歩いているので妻も疲れているみたいで、双六まではペースを落としてゆっくり戻ることにする。

途中で先行者に雷鳥がいますよと教えてもらう。ヒナもいたみたいだけど親鳥だけが警戒中だった。

15時、ガスが湧いてきて一気に涼しくなる。

双六小屋はまだ点のようにしか見えない。

16時、ふと思い出したように振り返ると水晶岳と鷲羽岳が見えた。よく歩いたなと思う。

16時半、双六小屋に戻ってきた。行動時間12時間、計算通りだが足がかなり疲れている。

昨日より少しテントの数が減った感じがするが相変わらず賑わっている。疲れ切っていてお湯を沸かすのが面倒だったので夕食は小屋の外食にした。僕はカレー、妻はあんかけラーメンを食べる。

ちょっと歩きすぎたかなあと反省しつつテントに戻ったが、双六をベースにして水晶岳までピストンしている人は結構いたので体力のマネジメントさえしっかりできれば、ぎりぎり歩けるコースだ。

18時すぎにテントに入ると雷を伴う激しい夕立がきた。

DAY3 8月14日 双六テント場→新穂高

昨晩同様シュラフに入ると暑いので下半身にかける程度にして眠った。3時起床、5時出発。

汗と湿気で体がどろどろなのでとにかく風呂に入りたい一心で下山に取り掛かる。山を登っている時に、それぞれのセクションでその先の楽しみを設定すると、歩くモチベーションに繋がっていい。

ジャンダルム、穂高、槍ヶ岳を眺めながら最高の下山セクションを楽しむ。

9時、わさび平まで下りてきた。

新穂高までの林道をいつものように山行の終わりの寂しさを感じつつ、今回の反省点などを話しながら充足感に満ちてゆるゆると歩く。もっと山に居たいという気持ちもあるが、とにかく体を洗いたい、下界のご飯が食べたいという気持ちも強く、これぐらいがちょうどいいのだと思った。

10時、新穂高着。温泉に直行。

高山までバスで出て、時間があったので駅前でそばを食べて、大阪駅直行のワイドビュー高山で帰ってきた。今まで雨に降られて間近では姿さえ見えなかった鷲羽岳、水晶岳に登れたので達成感の大きな山行になった。